人型ロボットが歩く姿は当たり前に見えて、実はとても難しい技術。倒れずに歩くしくみを見ていきましょう。
歩行は「倒れ続ける」こと
人の歩きは、実は「前に倒れかけて、足を出して受け止める」のくり返し。ロボットも同じで、重心を常に支え続ける必要があります。片足立ちの一瞬もあるので、バランスが崩れれば転びます。
ZMPという考え方
足裏が地面を押す力の中心が、足裏の内側に収まっていれば倒れません。この点をZMP(ゼロモーメントポイント)と呼び、歩行制御の基本になっています。
四足は安定、二足は器用
四足歩行
- 脚が多く安定
- でこぼこ道に強い
- 運搬・点検で実用化
二足歩行
- 人の環境に合う(階段・ドア)
- 手が自由に使える
- バランスが難しい
倉庫や点検では安定した四足が先に普及。人と同じ空間で働くヒューマノイドは二足が有利ですが、その分バランス制御が高度になります。
最近は「学習」で歩く
シミュ学習
仮想空間で何万回も練習
強化学習
転ばない歩き方を自分で発見
Sim2Real
学びを実機へ移す
かつては人が緻密に設計していた歩行を、いまは強化学習で覚えさせる流れが主流に。シミュレータで大量に練習し、実機へ移します。
もう少し詳しく(背景)
二足歩行が難しいのは、「倒れながら進む」という本質的に不安定な運動だからです。人間の歩行も、実は一歩ごとに前へ倒れかけ、それを次の足で受け止める動作の連続。ロボットでこれを実現するには、重心と足の位置関係を刻々と保つ精密な制御が要ります1。古くは、常にバランスを崩さないよう慎重に歩く方式(ZMP制御)が主流で、安定はするものの動きがぎこちなく、押されると転びやすい弱点がありました2。近年の飛躍は、シミュレーションでの強化学習で「転びそうになっても粘る」動きを大量に学ばせ、それを実機へ移す手法が効いたこと。Boston DynamicsやUnitreeのロボットが走ったり跳ねたりできるのは、この学習ベースの制御が進んだからです。歩行は、機構・センサー・制御・AIのすべてが噛み合って初めて成立する、フィジカルAIの総合力が問われるテーマです。
ゆるふわフィジカルAI